自殺した兄を持つ教師である双子の弟。
務めている学校で不定期に配られる謎のプリント「舞姫通信」。
「自殺」をテーマにした重松清の文章は、どこか生々しく、激しく、厳しい。
亡き兄の元交際相手との関係や、先輩教師家族の人間模様。
心中を図って生き残ってしまったタレント出現から、若者のブームとなる「自殺志願」。
時折描かれる舞姫通信も少しづつ形を変えていく。
随分古い作品ではあるが、教室の風景、メディアの無責任さ、社会の軽率さ。
そんなものは何一つ変わらないなぁと思う。
重いものを引きずりながらも「生きていく」ということ。
じわりと心に重しを乗せられるような作品だった。