「いじめ」をテーマにした短編集。重松清らしい生々しい描写。
表題作「ナイフ」はいじめを受けている一人息子の父の目線。
1999年に坪田譲治文学賞を受賞している。
当時の世相を思い浮かべながら読み、「自分の息子がこうだったら」と締め付けられる思い。
重松清自身が一番のお気に入り(当時)という「エビスくん」。
先天性の疾患を持つ妹のために、エビスくんにいじめられながらも「親友」と慕う兄。
少年期の「強いやつへの憧れ」というものに強く共感できる。
あとがきで記されたラストシーンでの一言「エビスくん、どこにおんねや、きみはいま」は、自殺した親友への重松自身の言葉。
あとがきで号泣したのは初めて。