重松清の短編連作を読み終えた。大切な一冊に出会えて嬉しい。
小学五年の時に交通事故に遭い、片足が動かない恵美ちゃん。
スポーツ万能で、その姉を慕う年の離れた弟。ブンちゃん。
この二人を軸に、周りの人たち一人一人を主人公にした「きみ」の話が進む。
全編に恵美ちゃんと、ともだちの由香ちゃんが穏やかに生きる。
そして由香ちゃんは高校進学を前に亡くなる。
最終章の前「はないちもんめ」は息が苦しくなるほど泣いた。
そして重松清自身(と思いながら読んだ)を最終章で主役にし、穏やかで優しく物語は閉じる。
「かげふみ」の一節で大好きな台詞があるので忘備録。
恵美がブンの親友「モト」にかける台詞。
「だから、笑いたいときには、うつむけばいいわけ。自分の影を相手にして、かげふみしてればいいんだよ。そのうちに息が苦しくなって、顔を上げたくなるから」