小川糸の短編3作「さようなら、私」を読み終えた。
過去の自分と決別し、少し前に進み始める女性を描いた作品。
何故かBGMにハンバートハンバートが似合うように思い、電車内で聴きながら読むことが多い小川糸。
出版社で働く事を夢に見て、叶い、失望した女性。
幼い頃に母に捨てられ、その血が流れている事を呪いながら生きて来た女性。
生まれて間もない子供と死別し、悲しみの縁に居る女性。
それぞれ異なる女性の悲しみに対し、少しづつ共鳴していける。
舞台はモンゴル、カナダ、そして日本とバラバラで、その国の風土を丁寧に伝えてくれているので、初めて知る事ばかり。特にモンゴルの遊牧民の暮らしが興味深かった。
「小川糸」と思って読むと、少し違和感を覚える。
タイム感や、台詞。無駄とも思える描写などに「?」となりながら読んだ。
途中、自分と何かが重なったように涙が止まらなくなるのだけれど。