2023-07-22

とわの庭

 

長女から借りた小川糸の「とわの庭」を読み終えた。
長女は「怖い話」と言っていたけれど、(その意味もわかるが)じんわりとした感情が残る小川糸らしい物語。

生まれつき目の見えない主人公「とわ」と、とわに言葉を教え、愛を注ぐ母。
序盤はなんとも言えない透明感のある愛に満ちた日々が描かれ、徐々に母が壊れて行く様が色濃くなる。
育児放棄された「とわ」の自宅サバイバルが強烈で、匂いまで感じるくらい。

保護され、施設で自立支援を受けた後、盲導犬と一緒に「とわの庭」がある自宅に帰る。
恋をし、友人が出来、料理をし、母との日々を辿る。

ネグレスト問題は大昔からある。
昨今のように離婚が左程珍しくもない時代になり、一人親の家庭もまわりに沢山ある。
大人が大人らしくなくなった今の時代、あらためて「子供を育てるということ」を考えた。
愛さえあれば。とは思わない。
育児支援を国が行う事は賛成だけれど、同時に「親を育てる」支援策も必要ではないかと思う。

親は子供に教えられて親らしくなる。
この物語の母も子供に教わりながら、様々な事を子供に教えた。
ただ現代社会で愛だけでは生きてはいけない。
辛い現実も沢山ある。

大人になったとわが、母の愛を存分に思い出し、懸命に生きる姿に色んな感情が溢れた。