仕事に明け暮れて読書から遠ざかっていた気がする。
色々と横置きにしたままの事を一つづつ再開。
溜まった未読の小説の中から、久しぶりの長編は宮本輝の海岸列車。
母に捨てられ父方の叔父に育てられた夏彦とかおりの兄妹。
両親に先立たれ苦学の末、弁護士になった戸倉。
この三人の目線で物語が進む。
叔父の残した会員制クラブの「モスクラブ」の後継者として奮闘するかおりと、そのまわりの人間たちが徐々に繋がり、国をまたいだ人間関係が繋がっていくのが壮大。
「何かを為そうとしたら、まず決意をしなければならない。
強く決意した瞬間、結果はすぐそこにある。」
戸倉の亡き友人のボウ・ザワナの言葉が妙に響いた。
宮本輝の文章と舞台の詳細な表現は、あたかもその場を訪れているような気にさせてくれる。
またそれぞれの登場人物、まわりの登場人物全員に物語がある。
あっという間の読了。
古い作品だけど久し振りに読んだ本が海岸列車で良かった。