5月にドキュメンタリー映画を見て、読みたくなった中村哲の著作の一つを読了。
映像でしか分からない部分は映画で見た。
信念や政治的背景などが事細かに理解出来、改めて中村哲という日本人医師が成し遂げた偉業を知れた。
詩人の火野葦兵の甥にあたる中村哲。
文学的にも評価が為されているが、文章が分かりやすく詩的で素晴らしい。
古本をネット購入したのだけれど「美品」と表記の割に赤線だらけだったことを除けば、本棚に並べておきたい一冊が増えた(笑)
旧ソ連のアフガン侵攻、大旱魃、アメリカの空爆。
様々な難局の中で信念を貫いて、「荒野に水を」を成し遂げた偉人は2019年12月4日、アフガニスタン東部のジャララバードで凶弾に倒れた。
今度新札が出るなら中村哲にしてほしい。
終章より覚書として。
「信頼」は一朝にして築かれるものではない。
利害を超え、忍耐を重ね、裏切られても裏切り返さない誠実さこそが、人々の心に触れる。
それは、武力以上に強固な安全を提供してくれ、人々を動かすことができる。
私たちにとって、平和とは理念ではなく現実の力なのだ。
私たちは、いとも簡単に戦争と平和を語りすぎる。
武力行使によって守られるものとは何か、そして本当に守るべきものとは何か、静かに思いをいたすべきかと思われる。
日本で報じられていたアフガンの情勢はアメリカ・西洋目線の偏向であった事。
国会で議論されていたのは既に決まっている「答え」に到達する道筋でしかないこと。
そして大好きな「北の国から」最終章でのセリフ「自然のおこぼれを頂戴しろ」「金なんか追うな。幸せだけを見ろ」とまるで重なる、アフガニスタンの元来の営みを知れた。
今のタイミングで読めたのも何かの縁を感じながら読んだ。
赤線が無ければもっと良かった。