2025-04-15

月光の東

 

宮本輝の長編小説「月光の東」を読み終えた。

不幸な少女時代を過ごした塔屋米花。
そのころの米花に恋をしていた杉井目線と、大人になった米花と関係を持ち、パキスタンのカラチで自殺をした加古慎二朗の妻、美須寿目線で物語が紡がれる。

ミステリータッチの出だしに、序盤は中々読み進まなかった。
しかし物語が進むと、いつもどおり宮本輝の博学さと、世界観に惹きこまれる。

とんでもない悪女のような米花のイメージが、徐々に正体が明らかになる伏線回収も、「月光の東」という謎めいたキーワードもおもしろい。

レビューにあったが、「結局月光の東とは何を意味するのか?」とか「自殺した理由は何なのか」など、気にならなくもないけれど。

自分なりの答えで良いのではなかろうか(笑)

一光年が9兆4670億Km。クシムラレーと名付けられた自転車が印象に残る。