2024-07-02

生きるぼくら

 

引きこもり青年の、人としての成長を描いた作品「生きるぼくら」を読み終えた。

いじめがきっかけで引きこもり、24歳になるまで母の収入だけで生きる主人公「人生」。
ある日、母が姿を消し、祖母を訪ね蓼科へ着く。
色んな人との出会い、農業を通じて、共に「生きてる」ということに目覚める。

引きこもり。離婚。いじめ。認知症などの暗いテーマが織り交ぜられながらも、どこかのんびりとした穏やかな風景が目に浮かんでくる。

『お米の力を信じて、とことん付き合ってあげなさい』
と、おばあちゃんが人生青年に諭す場面がある。

「お米の力」という言葉を「人間の力」という言葉に置き換えてみる。するとそれは「自分の力」ということになる。
「自分の力を信じて、とことん付き合ってあげなさい。自分自身に。
ばあちゃんにそう言われている気がした

素敵な言葉と、素敵な風景描写、素敵な登場人物がたくさん詰まった名作。
忘れた頃にまた読みたい。