2026-03-16

青が散る

 

宮本輝の古い作品を読み終えた。
1983年にはテレビドラマ化もされ、石黒賢の主役デビュー作にもなった。

舞台は新設大学(追手門学院大学がモデル)。
金子に誘われて嫌々テニス部に入部することになった主役の遼平が、自作のテニスコートで汗を流し、友情と恋愛に悩みながら、時にためらい、時に生き急ぎながら駆け抜ける短い「青春」を描いた名作。

自分が10歳の頃の作品だけど、読んでて何の違和感も感じないところが宮本輝の凄い部分。
時代背景の懐かしさではなく、不変の「人間」を描き切っているように感じた。


友人の自殺。友人の結婚。不倫。倒産など様々なエピソードの中で、自問自答し、答えを見つけられず藻掻く様は、現代社会においても通ずる部分が多々ある。

澱みの中、虚無を感じながら光り輝く時代。
若さとは素晴らしく、そして愚かだと感じさせられる。

最も響いた場面がある。
テニス仲間の友人から「王道か覇道か」について説かれる場面。

誰が見てもキレイなフォームで基本に忠実な「王道」を(主役が)目指しても上の下までもいけない。
しかし相手が嫌がる、負けない自己流を貫く「覇道」を行けば、中の上まではいける。

「上の下より、中の上の方が強い」のだと。
色んな意味で考えさせられた。

主役は「王道」を選ぶ。
そしてインカレに金子とのダブルスで出場を果たす。
結果、見事に敗れ去るのだが読んでても悔いを感じなかった。


「青春」という言葉が好きだ。
自分のその時期を思い返せば赤面するが(笑)
意味もなく悩んだり、訳もなく怒ったり、大げさに考えたり、根拠もなく自信だらけだったり。
二度と戻らない未熟で力任せだった年月を思い返しながら読んだ。