2018-03-04

初春雑記

休日出勤の朝。工場の3階より見る生駒山から昇る朝日は、力強く語り掛けるよう。

灯りがついてなくても移動が出来るくらいに慣れた工場。
いつもどおりコンプレッサーの水を抜きスイッチを入れる。
制作途中のフレーム。机の上にひろげたままのサンドペーパー。
エアがたまっていく音を聞きながら、ゆっくりと作業にかかる。

棚に仕上がったフレームが並び、明日の出荷を待つ。
25年間、最も過ごす時間の長いのがこの塗装部屋のある3階。

30年前の工場火災で、自宅屋上は工場へと改築。
そのなごりの螺旋階段を降り2階へ。
大きなベランダだった2階は、梱包部屋・ストック置き場となっている。

引き戸を開け、高校生までは自分の部屋として使っていた事務所へ。
PCを起こし、コーヒーを飲みながら数件のメール返信。見積もり。
ブックマークしているサイトを眺めながら今後の事をじんわり考える。

1階へ降り受注フレームの制作開始。横引きで材木を切り、パネルソーで巾に割る。
両軸プレーナーで反りをおさえながら厚みを揃え、ワイドサンダーで仕上げ。
手押しカンナで反りを直し、モルダーで形成。
昇降盤で裏欠き、トメカットソーで正寸カット。高周波でトメ組み。
昇降盤で溝を突き、チキリで補強。乾き待ちに次の受注分をチェック。
体に染みついた「慣れ」で動ける機械配置。

今は使っていない機械、隅に保管したままの名前も知らないような材木。
フレーム以外の色んな職種の「木工」の残骸を眺めながら掃除。
父の歴史を感じる様々な道具。この歴史には一生敵わないかも知れない。

準備をし、待つという事。
自分を信じ、踏み出す事。
経験は経験。知識は知識として活かせる事。
なにより自分である事。

ここから始まるかもしれない数年に対する不安と期待。
同時にこの工場が好きなのだと再発見したこの数日。
「やれる」と言い聞かせる。